こんばんは、PARADIGM代表平良です。先日、以下のTweetをしました。
今日はこのTweetを深掘りしたいと思います。
リカレント教育とは簡単に言えば「学び直し」のことです。
とはいえ、社会人が学問を学び直したいと思っても何からどうはじめたらいいのかわかりませんよね?
この記事ではその悩みを解決致します。
結論から言うと、心理学・考古学・哲学などの人文科学系の学問に専門書を読書することからはじめてみましょう。
Contents
リカレント教育の学問の種類
社会人が学び直しをするとしたら、以下の4つの方向性があると思います。
- 教養や文化に関する学びを得て豊かな教養を身につける
- ビジネスに関する学び直しを行うことで、キャリア形成に繋げる
- 資格や実務に関する学び直しで、転職や再就職に繋げる
- 語学に関する学び直しによって、新しい自分の方向性を発見する
今回はまず豊かな教養を養うための学問を紹介致します。
豊かな教養は、人間生活の根幹に関わる重要な要素です。例えば、美術館に行って絵画を観る際、歴史的な背景や画家の思考的枠組みを知っているだけで、どういう意味で良い絵なのかを知ることができます。
他にも、歴史的な発見に関するニュースを自分なりに咀嚼して解釈できますし、巷にある哲学書も読みやすくなります。
何より、それらの知識を得ることで色んな人に自慢できますよね。
子どもがいる人は、子どもに自慢することができ、子どもの教育にも良い影響が出ると考えられます。お父さんお母さんがこんなに物知りなら、自分も勉強しようと思ってくれるかもしれません。
したがって、教養を身につけることで、様々なモノの見方や価値観の形成、自分の生きる座標軸の構築に繋がって、豊かな人生を送ることができます。
ビジネスや資格に関する学び直しが実社会に最も繋がりやすい学びになりますが、そこは教養を養ってからでも遅くはありません。
リカレント教育に最適な学びの一つ目は心理学!
心理学はありとあらゆる学問の中でも、人気のある学問の一つです。
なので、改めて説明しなくてもだいたいどんな学問かは分かると思います。
ですが、心理学という学問を勘違いしている人は多いです。
例えば、「心理学を学べば人の心が読める」というような言説は心理学を勘違いしている典型的なものです。
心理学は科学です!緻密な実験と統計処理によって、仮説の検証が行われます。なので、「人の心が読める」というような空想科学とは異なると考えてください。
では、心理学とはどんな学問?
心理学とは人の行動原理を心理的側面から科学的に検証する学問のことです。
例えば、「カクテルパーティー効果」は人の行動を心理学的に説明したいという典型例です。
にぎやかなカクテルパーティー会場であなたが誰かと会話中だとします。周囲は話し声でにぎやかです。しかし、そんな時でも別のグループの会話の中であなたの名前が話されると、不思議なことにそれは耳に入ってきます。それが「カクテルパーティー効果」というものです。
つまり、人は意識的には話を聞いていなくても、あなたの心の一部が他の人の会話を聞いているという検証結果を示しているのです。
上記のようなものが心理学の典型例だとしておきましょう。
また、心理学には色んなジャンルがあります。
- 社会心理学
- 犯罪心理学
- 認知心理学
- 実験心理学
- 臨床心理学 などなど
しかし、心理学の全てを勉強することはできません。心理学の学者でさえ、心理学の全ジャンルを網羅しているわけではないので、全部勉強しなきゃいけないということはありません。
まずは心理学の全体像を把握し、自分の興味のある分野を見つけると良いと思います。
心理学を勉強するメリット
心理学を勉強するメリットは3つあります。
- 科学的(根拠のある)な勉強やコミュニケーションができるようになる
- 自分の気持ちをコントロールできるようになる
- 他人に心理学の知識を自慢できる
1.科学的(根拠のある)な勉強やコミュニケーションができるようになる
先程から述べているように心理学は明確な根拠をもとに、人間の行動を解明します。その心理学の成果を応用することで、有益な行動を取ることができるようになります。
例えば、社会人であれば営業において、顧客が心理的に惹きつけられやすいトークができるようになったり、学習効果の高い勉強法を実践できたりというメリットです。
2.自分の気持ちをコントロールできるようになる
心理学は人間の思考回路を研究する学問でもあるので、ネガティブになる思考の原理を知ることで、自分の気持ちをコントロールできるようになります。
3.他人に心理学の知識を自慢できる
これは個人的な経験ですが、心理学の知識はどんな雑学よりも相手は興味を持って聞いてくますし、関心してくれます。
それにより、コミュニケーションが円滑になるというメリットもあり、一石二鳥ですね。
では、心理学をどうやって勉強するか?
答えは簡単です。本を読みましょう!
大学の公開講座やリカレント教育に参加するという方法もありますが、どうしても費用が大きくかかったり、地方では行われていなかったりもするので、本で勉強するのが1番手っ取り早いです。
まずは本を読み、大学生のようにレポートを書いてみましょう!
書くといっても、自分のインプットしたことをアウトプットする用のレポートで構いません。要はまとめノートみたいなものですね。考察まではしなくて良いです。
以下に心理学を勉強しはじめる上で参考になりそうな本を簡単に紹介しておきます。
リカレント教育に最適な学びの二つ目は考古学!
考古学は耳にしたことはあるけど、実際どんな学問なのかは分からないという人は多いと思います。
考古学によくある誤解が以下のようなものですね

考古学って恐竜の化石を発掘するんでしょう?
そう!考古学は人を対象にした学問なんです。人の歴史を追求します!
歴史の教科書で、縄文土器や弥生時代のことについて勉強した記憶はあるでしょうか?
まさしくそのような古い時代のことを研究するのが考古学です。その当時、人々はどのような生活をしていたのか?どんな社会をつくっていたのか?などを具体的に研究します。
考古学を勉強するメリット
考古学を学ぶメリットは3つあります。
- 歴史的な発見のニュースを自分なりの解釈で受け取ることができる
- 子や孫世代に私達が生きてきた国の歴史を伝えることができる
- 考古学はとても多くの学問と融合して研究する学問なので、様々な学問の世界を知ることができる
歴史的な発見のニュースを自分なりの解釈で受け取ることができる
例えば、以下のニュースを読んであなたはどう思うでしょうか?
スペインの洞窟で発見された壁画が世界最古のものであった。というニュースですね。
この話を聞いても
「ふーん。1番古い壁画なんだ」
と思うしかないと思います。
でも、考古学を勉強していると、この壁画の存在が如何に重要で人類の歴史の見方を変える重要な発見であるかを知ることができます。
若干の解説をすると、考古学の定説において現生人類(ホモ・サピエンス)と前の人類(ネアンデルタール人)との違いは象徴的認知能力の違いだと言われています。
もっと分かりやすく言うと、要は今の人間って美術に興味を持ったり、ゲームをしたり、何かを信仰したりと、生きていく上で不必要な行動をしますよね。これは人間特有な行動なのです。そこが、今の人類と前の人類の大きな違いなのです。
これまで、前の人類は絵を描いたり、何かを信仰したりする行為はしてこなかったという定説がありました。しかし、この発見によりネアンデルタール人が現生人類にかなり近い存在であることが明らかになったのです。
このように考古学を勉強することで、歴史的な発見を深く理解することができます。
子や孫世代に私達が生きてきた国の歴史を伝えることができる
歴史を知ることは地域文化の存続に繋がりますよね。
街の発展により、地域の歴史的遺産は失われつつあります。ですが、子ども達を教育する大人達が口頭での伝承によって伝えていくことができます。
地域の文化を残していくことは、魅力のある日本を残していくことにも繋がります。
考古学を勉強することで、そのような地域文化を振興する担い手になることができるのです。
考古学はとても多くの学問と融合して研究する学問なので、様々な学問の世界を知ることができる
考古学を勉強していくと分かることなのですが、実は考古学は文系の学問でありながら理系の学問でもあるのです。
過去のことを明らかにするためには、モノを発見するだけでは足りません。
例えば、縄文土器の年代を知るためには「放射性炭素年代測定法」という物理や化学の範囲内の学問が必要なのです。
他にも心理学の成果を応用したり、社会学の考え方で当時の社会を復元したりと様々な学問の力が必要になります。
そのため、考古学を学んでいると色んな学問の世界を知ることができるのです。
では、考古学をどうやって勉強するか?
心理学と同様に、本を読むことをオススメします。
ですが、心理学と違ってややマイナーな学問なので、基礎となる本が少ないです。
なので、大学の公開講座やリカレント教育に参加することもオススメします。
また、心理学と違ってフィールドワークを通して学ぶことができる学問でもあるので、実際に近くの遺跡を見学しに行ったり、発掘現場を見学することも良いでしょう。
以下に勉強する上でオススメの本を軽く紹介します。
リカレント教育に最適な学びの三つ目は哲学!
哲学は一度は勉強してみたいな、と思ったことのある人は多いと思います。
でも哲学書って難しくて読めない!という理由で挫折した経験のある人も多いことでしょう。
しかし、哲学を頑張って勉強するととても良いことがあるのです。
哲学を勉強するメリット
哲学を勉強するメリットは以下の3つです。
- 考えることの楽しさを知ることができる
- 物事の本質を見抜く力を養うことができる
- 全ての学問の根幹的な思考を知ることができる
考えることの楽しさを知ることができる
はっきり言って哲学は、生きる上でほとんど役に立ちません。
哲学を勉強することの本質は思考をするということなのです。もっと簡単に言うと、何かについてひたすら考える!
哲学の勉強ってただそれだけなんです。
ハイデガーという哲学者は「時間」について一生懸命考えました。レヴィ=ストロースという人は人の思考の「構造」について考えました。
哲学はそんな感じの学問です。もちろん、考えた末にある程度行動の指針にすることはできます。
こういう考え方もあるなら、こんな意見も持っておこうか!
みたいな感じに!
でも1番の本質はその思考するプロセスが面白い!楽しい!ということを忘れないようにしましょう。
物事の本質を見抜く力を養うことができる
これは考える楽しさに直結する話なのですが、考えることが上手くなると色んなことの本質を見抜く力をつけることができます。
本質を見抜くとはやや難しい話ですが、要は色んな情報の中から議論すべき中心を掴みだすことができるということです。
例えば、なぜ、人を殺してはいけないのか?というテーマに対して皆さんどう答えるでしょうか?
法律で禁止されているから、人の命を奪ってしまうから、という答えは簡単に出せますね。
ですが、どうしても人を殺さなければならない状況に陥った場合はどうでしょう?
有名な議論でトロッコ問題というのものがあります。一時期、流行ったマイケル・サンデルがよく取り上げていたトピックです。
君は路面電車の運転手で、時速100キロの猛スピードで走っている。君は、行く手に5人の労働者がいることに気づいて電車を止めようとするが、ブレーキが利かない。そのまま進んで5人の労働者に突っ込めば、5人とも死んでしまう。君は「何もできない」と諦めかける。が、そのとき、脇に逸れる線路=待避線があることに気づく。しかしそこにも働いている人が一人いる。ブレーキは利かないがハンドルは利くので、ハンドルを切って脇の線路に入れば、一人は殺してしまうけれども、5人は助けることができる。
ここで最初の質問だ。正しい行いはどちらか。君ならどうする?
ハーバード白熱教室講義録 マイケル・サンデル 著 より引用 若干の改変
という質問をされたら「法律で禁止されているから」というような議論ではなくなりますよね。
「道徳のジレンマ」という議論ができるかどうかが、この問題の本質となっています。
というように、哲学は一つのトピックに対して深く考える学問なので自然と本質を見抜く力を養うことができるのです。
全ての学問の根幹的な思考を知ることができる
実は哲学の1番面白いところは、ここだと思います。
哲学って様々な学問の根幹となっています。
科学的認識の妥当性を問うには哲学的思考が不可欠です。この話の例は少し難しいので、また次回の機会に詳しく説明したいと思います。
この哲学のジャンルを「科学哲学」と言います!
では、哲学をどうやって勉強するか?
哲学も心理学と考古学と同様に、本で学ぶことができます。
むしろ、本でしか勉強できません。哲学は数ある学問の中で1番お金のかからない学問なのです。
ただ、難しい哲学書を読んでいて行き詰まった際には、享受してくれる存在が必要なので大学の公開講座に顔を出して大学教授に質問してみるのも良いでしょう。
以下に、分かりやすい基礎的な哲学の本を簡単に紹介しておきます。
まとめ
以上、リカレント教育に最適な学問を3つほど紹介しました。
まとめると、心理学・考古学・哲学の概説書を読書することをオススメします。
学問は豊かな人生を送ることに不可欠です。是非、社会人あるいは定年退職した今だからこそ、学問の学び直しをはじめてみましょう。
それは「地質学」の方だね!地質学が古代の“生物”を扱う学問で、考古学は古代の“人”を扱う学問なんだよ!