こんばんは、PARADIGM代表の平良です。
今回は「AO入試、推薦入試で必須な志望理由書の書き方」というタイトルでお送りします。
先日、以下のようなTweetを行いました。
今回はこのTweetについて深掘りしたいと思います。
以前、AO・推薦入試の違いについての記事を投稿していますので、そちらも是非読んでください。
Contents
志望理由書とは?
志望理由書とは、AO入試や推薦入試で出願する際に調査書や推薦書と時に提出する書類のことです。
読んで字の如く、なぜ、この大学を志望したのかということを書くのです。
推薦書や調査書だけでは、受験生の資質を図ることができないため、説得力のある志望理由で受験生を競わせるのです。
つまり、志望理由書の出来具合でAO入試や推薦入試の合格が決まると断定しても差し支えないでしょう!
志望理由書の書き方
志望理由書の書き方については、結論から言うと以下の構成に沿って書いてください。
- 夢や目標を宣言する
- 1で述べた夢を抱いたきっかけを述べる
- 掲げた夢や目標に対して問題提起をする
- 3で述べた問題提起に対して解決案を提案する
- 1〜4で述べたことを達成するためにこの大学で学びたいことを書く
このように、だいたい4〜5段落に収めると良いです。
では、例文でその構成例を見ていきましょう。
1.私は将来、国際的な社会に対応できる助産師を目指している。
沖縄県立看護大学に合格した受験生の志望理由書より引用
2.私が助産師を志したのは、母の出産がきっかけだ。私の母は二度の流産経験があり、不妊治療を5年間受けていた。二度目の流産経験の際には、助産師や看護師の方に励ましを受け、不妊治療を諦めずに続けたという。その話を聞き、私は看護師・助産師の職業に興味を持った。
3.現在沖縄県の外国人労働者は年々増加傾向にあり、2016年度では5971人にまで登る。また、台湾人女性が沖縄で緊急出産したケースもある。このようにグローバル化が進む社会において、医療だけでなく看護分野も今後グローバル化に対応できる技術が求められる。
4.私は留学経験が二度あるため、英語を用いたコミュニケーションには自信がある。そのため、英会話のできる助産師として病院や保健所に勤めたい。また、その病院や保健所で外国人向けの出産・子育ての講演会なども実践したいと思っている。
5.目標を達成するために、貴学では助産実践論だけでなく、ハワイ研修やJICA研修受け入れ等の国際交流にも積極的に取り組みたい。また、広域・基盤看護科目を通し、実践的な看護の力も培いたい。看護・助産、そしてグローバルな学びを得られる貴学ならば、私の目標を達成できると考え、沖縄県立看護大学を志望する。
上の志望理由書は実際に推薦入試で沖縄県立看護大学に合格した受験生の志望理由書です。今回は特別に公開します。
では、以下からなぜこの構成が良いのかを各段落を抑えながら解説します。
志望理由書の書き方①夢や目標を宣言する
なぜ、いきなり夢を宣言するのか?
それは、このAO入試や推薦入試の目的が受験生の将来性を見ているからです。
わかりやすい文章は結論が先に述べられています。
志望理由書の結論=夢なので、まずはじめにあなた自身の目標を述べることで、読み手は“この受験生はこういうことがしたいのか”とすぐ分かることができるのです。
大学に入りたい理由って、本音のところ言うと上手く言語化できないですよね。
例えば、なんとくなく大学行くとか学歴あった方が良いとか、遊びたいとか目的は人それぞれだと思います。
しかし、上記の理由では読み手(ここでの読み手は審査する大学の先生)は、良い学生だという認識はしてくれないのです。
夢を持っている学生、そしてその将来へのヴィジョンを明確に持っている学生を大人は評価します。
だからこそ、はじめにあなた自身の目標を提示する必要があるのです。
志望理由書における夢の宣言のポイントと注意点
以下のような夢の宣言はNGです。
私は将来看護師になりたい。
なぜ、ダメか分かりますか?
理由は、職業を書くだけだと何も伝えられないからです。
職業を言うだけなら誰でも出来ます。小学生やAO・推薦入試を考えていない人でもできるでしょう。
どういう看護師を目指しているのか!という点にだけ、あなたの個性が出るのです。
上の例文では、以下のような夢の宣言をしているはずです。
私は将来、国際的な社会に対応できる助産師を目指している。
文章技術的なことを言うと、名詞に副詞をつけるということです。
もっと簡単に言うと、その職業でどんなことをしたいのか、具体的に何をしたいのかをこの一文だけで伝えることがポイントなのです!
志望理由書の書き方②1で述べた夢を抱いたきっかけを述べる
この段落は割とイメージをしやすい人も多いのではないでしょうか。
面接時でも、どうしてその夢を持ったのか?という質問はされがちです。
きっかけを書くだけなので、そんなに難しくはありません。例文をみてみましょう。
私が助産師を志したのは、母の出産がきっかけだ。私の母は二度の流産経験があり、不妊治療を5年間受けていた。二度目の流産経験の際には、助産師や看護師の方に励ましを受け、不妊治療を諦めずに続けたという。その話を聞き、私は看護師・助産師の職業に興味を持った。
書き方のポイントは、まず◯◯がきっかけだとはじめに言い切ってしまった方が良いでしょう。
夢の宣言もそうなんですが、文章に限らず、何かを主張する際に結論から言うとかなり伝わりやすくなります。
きっかけのポイントと注意点
きっかけのポイントは特にありませんが、注意点としてきっかけと夢にずれが生じないよう気をつけましょう。
例えば、
父が大学で講師をしているので、私は教師になりたいと思った。
「教育」というテーマで関連してそうですが、ダイレクトに大学教授を目指した方が良いのでは?と突っ込まれてもおかしくないです。
例えば、以下のように直すと良いでしょう。
父が大学で講師をしているため、元々教育に関して興味があった。そこで、最も生徒と関われる仕事を考えてみたところ、学校の教師という目標に辿り着いた。
という風にきちんと論理立てて説明しなければなりません。
志望理由書の書き方③掲げた夢や目標に対して問題提起をする
この段落は少し難しいかもしれません。
例文の中では、はじめに「国際的な社会に対応できる助産師」を目指していると述べています。
ですが、もし現在ほとんどの助産師が英語が話せて外国人への対応も素晴らしかったらどうでしょう?
ちょっと主張の弱い目標になってしまいそうですよね。
そこで問題提起をする必要があるのです。問題提起することで以下のメリットが生まれます。
- 文章に説得力を持たせることができる
- 今の社会に対して、現状分析ができているとアピールすることができる
問題提起することで、「確かに解決しなきゃいけないことだよね」と読み手に思わせることができます。
そして、そのような分析ができる課題を提示できる人材は社会でも優秀な人材と認識されます。
なので、問題提起することはそのような力をアピールする上でも重要なのです。
問題提起のポイントと注意点
問題提起する際、あやふやなまま問題提起すると良くないです。
例えば、
現在、日本国内の外国人の数が多くなってきているため、英語が話せる助産師の存在が必要不可欠となっている。
という一文は一見、説得力のある主張に見えますが、情報が不確かです。
嫌な感じの審査官だと、本当に?と疑われてしまいます。
なので、数字などを用いてできるだけ根拠性をもたせましょう。
現在沖縄県の外国人労働者は年々増加傾向にあり、2016年度では5971人にまで登る。また、台湾人女性が沖縄で緊急出産したケースもある。このようにグローバル化が進む社会において、医療だけでなく看護分野も今後グローバル化に対応できる技術が求められる。
志望理由書書き方④3で述べた問題提起に対して解決案を提案する
この段落が最も重要です!
なぜなら、各段落の中で1番オリジナリティを持って主張できるからです。
そして、ここは調べた分だけ個性が出ます。
なので、この段落の攻略法はひたすら調べることです。例文を見ていきましょう。
私は留学経験が二度あるため、英語を用いたコミュニケーションには自信がある。そのため、英会話のできる助産師として病院や保健所に勤めたい。また、その病院や保健所で外国人向けの出産・子育ての講演会なども実践したいと思っている。
こちらの例文では、「看護分野も今後グローバル化に対応できる技術が求められる」という問題提起に対して、「病院や保健所で外国人向けの出産・子育ての講演会などを実践したい」という主張をしています。
つまり、この段落ははじめの夢の宣言を具体化する段落でもあるのです。
再三言いますが、ここは唯一と言っていいほどあなた自身の個性を発揮できる段落なので力を入れて考えましょう!
具体案のポイントと注意点
この段落で注意してほしいことは、最初の主張とのずれです。
人間、長文を書いていると最初に書いていたことを忘れ、論理がどんどんずれてしまうものなのです。
なので、ずれが生じないよう注意を払いましょう。例えば、以下のようなものはNGです。
私は将来国際的に活躍できる助産師になりたい。→そのため、助産技術を磨いて質の良い助産院を開業したい。
最初の「国際的」がどっかに行ってしまって、明らかに変ですよね。
また、抽象的にならないよう注意したいところです。以下の例もNGです。
私は将来国際的に活躍できる助産師になりたい。→そのため、英語を習って困っている外国人患者をたくさん助けていくつもりだ。
これだと、最初で言っているレベルとあまり変わりありません。この段落のポイントは「具体」なのです。
志望理由書の書き方⑤1〜4で述べたことを達成するためにこの大学で学びたいことを書く
締めの段落です。
自分には目標があって、それを達成したいからこの大学で学びたいという主張をする段落です。
ここはある程度型通り書いて構いません。
目標を達成するために、貴学では助産実践論だけでなく、ハワイ研修やJICA研修受け入れ等の国際交流にも積極的に取り組みたい。また、広域・基盤看護科目を通し、実践的な看護の力も培いたい。看護・助産、そしてグローバルな学びを得られる貴学ならば、私の目標を達成できると考え、沖縄県立看護大学を志望する。
この段落の書き方は自分の勝手な思い込みで書くのではなく、きちんと大学のホームページやパンフレットから引用して書きましょう。
これが学べるだろうではダメなのです。
大学で学びたいことのポイントと注意点
ここはもちろん、自分自身が掲げた目標と関連するような学びでなければいけません。
例えば、上記の志望理由書では「国際的な助産師」になりたいと述べています。
ところが、看護学についての学びだけ書いていると助産師という目標とずれてしまいます。
また、「国際的」というキーワードも掲げているため、それに関連するような学びも記述しなければなりません。
つまり、以下のようなものはNGです。
私は将来国際的に活躍できる助産師になりたい。→そのため、共通科目である政治学や哲学も力を入れたい。老年看護や地域看護の授業も受けたい
志望理由書を書く上で、この構成を取るメリット
この構成を取るメリットが4つあります。
- はじめに夢の主張をすることで、自身の将来のヴィジョンを明確に伝えられる
- 問題提起をすることで、分析力を示すことができる
- 具体的に解決策を示すことで、オリジナリティやクリエイティブ性、及び課題解決能力を主張できる
- 文章の論理構成がしっかりしていると、論理的思考力があると示すことができる
志望理由書の書き方まとめ
以上が志望理由書の書き方の基本となります。まずはこの基本的な書き方を抑えればAO入試、推薦入試で十分に戦えることができるでしょう。
- 夢や目標を宣言する
- 1で述べた夢を抱いたきっかけを述べる
- 掲げた夢や目標に対して問題提起をする
- 3で述べた問題提起に対して解決案を提案する
- 1〜4で述べたことを達成するためにこの大学で学びたいことを書く
という構成を忘れないようにしましょう。